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HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨を2年使った正直レビュー|良かった点と人を選ぶ点

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HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨を2年使った正直レビュー|良かった点と人を選ぶ点

キーボードに4万円近く出すなんて正気じゃない。2年前の自分は、たしかにそう思っていました。それでも結局ポチってしまったのが「HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨」です。価格は¥36,850(税込)。

あれから2年、ほぼ毎日このキーボードで文章を書いてきました。良かったところも「これは人を選ぶな」と感じたところも含めて、正直な使用感をまとめます。

そもそもHHKBってどんなキーボード?

HHKB(Happy Hacking Keyboard)はPFUというメーカーのキーボードで、今回のモデルの正式名称は「HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨」です。主なスペックは次のとおり。

  • キー数:69個/キースイッチ:静電容量無接点方式
  • キーピッチ19.05mm、キーストローク3.8mm、荷重45g
  • 接続:Bluetooth Ver4.2LE Class2、USB Type-C(同時接続は4台まで)
  • 電源:単3形乾電池×2本(またはUSB給電)
  • サイズ:W294×D120×H40mm/重量550g(電池含まず)
  • キートップ:シリンドリカルステップスカルプチャ、傾き3段階調節
  • 対応OS:Windows、macOS、Android、iOS、iPadOS、visionOS

ポイントは「静電容量無接点方式」というキースイッチです。一般的なキーボードは押したときに内部の金属同士が触れて入力を検知しますが、この方式は静電気の量の変化で検知するため、接点が物理的に擦れません。摩耗が少なく、独特の滑らかな打ち心地が生まれます。「Type-S」は静粛性と高速タイピング性を高めた構造を指し、同じHHKBでもType-Sが付かないモデルより打鍵音が抑えられています。

打鍵感は最高。ただし「無音」ではない

2年使っていちばん満足しているのは、間違いなく打鍵感です。「押し込む」というより「スッと沈む」感覚に近く、荷重45gは軽すぎず重すぎず。ストロークの途中に引っかかりがないので、長時間書き続けても指が疲れにくいと感じています。

一方で正直に書いておきたいのが打鍵音です。Type-Sは静音構造ですが、「無音」ではありません。安価なキーボードのカチャカチャした軽い音に比べれば、ずっと落ち着いた低めの音になります。それでも静かなオフィスや家族が寝ている深夜には、それなりに音は届きます。特にスペースキーとEnterキーは他より明らかに大きく鳴り、オンライン会議中ならマイクが拾う程度です。「Type-Sだから会議中でも打ち放題」と期待すると、少し肩透かしを食うかもしれません。

独特なキー配列——慣れるまで2週間

多くの人が最初にぶつかる壁が、この配列です。69キーという数が示すとおりキーはかなり絞り込まれていて、多くの機能はFnキーとの同時押しで呼び出します。

方向キーがそのまま付いているのは、日本語配列を選ぶ大きな理由です。 英語配列モデルではFnとの同時押しが必要ですが、日本語配列は右下に独立した方向キーが用意されています。ここを重視して日本語配列を選ぶ人は多いはず。ただしキーボード全体がコンパクトなぶん、一般的なフルサイズのように大きく離れた位置にあるわけではないので、指を伸ばす距離感は最初に作り直しが必要でした。テンキーはないので、数字入力が多い作業では最上段に頼ることになります。

文字消去まわりは少し戸惑いました。 日本語配列の右上はBack Spaceで、Deleteを単独で打つキーはありません。Fn+BSの組み合わせで入力する形になります。前方向に文字を消す操作が2キーになるので、慣れるまでは何度か手が止まりました。なおDIPスイッチの設定でBSキー自体をDeleteとして使うように変更することもできるので、どちらを主に使うかで選べます(ただしmacOSではこの切り替えは無効で、常にmacOSのDeleteキーの動作になります)。

Controlキーは、Aキーの左隣にあります。 一般的な配列でCapsLockがある場所です。ここは慣れると圧倒的に押しやすく、個人的にはHHKB最大の恩恵。小指をほとんど動かさずに届くので、ショートカットの多い作業がかなり楽になります。

慣れるまでは体感で2週間ほど。最初の3日はタイピング速度が半分以下になり、本気で「失敗したかも」と思いました。問題は慣れたあとで、今度はノートパソコンの内蔵キーボードで盛大にミスタイプするようになります。HHKBに慣れることは、普通のキーボードから少し遠ざかることでもあると覚悟しておいたほうがいいでしょう。なお本機はキーマップ変更機能に対応しているので、どうしても合わない配置は自分好みに変えられます。

「墨」は刻印が読めない。それが良い

「墨」は黒に近い本体に濃いグレーの刻印という配色で、要するにキートップの文字がとても読みにくい。暗い部屋ではほぼ見えず、購入直後は記号の位置を確認しようと顔を近づけたこともありました。

ただ2年経った今、この見えにくさが不満になることはありません。単純に、キーを見なくなるからです。むしろ刻印が主張しない分、机の上での佇まいが非常に落ち着いていて、作業空間のノイズになりません。逆に、キーを見ながら打つ癖がある方には素直に別のカラーをおすすめします。ここは好みではなく実用の問題です。

2年使った耐久性——ヘタリはほぼゼロ

耐久性は期待以上でした。長い日は10時間近く触っていますが、特定のキーだけ反応が悪くなったり押し心地が変わったりといった劣化は感じません。物理的な接点が擦れない方式の有利さを実感しています。

キートップのテカリも、よく使うキーにわずかに出ている程度。重量550gとこの小ささにしてはずっしりしているので、強めに打っても本体がずれません。傾きは3段階に調節できるため、自分の手首に合う角度を見つけておくと快適さが変わります。

Bluetooth4台接続と持ち運び

最大4台までペアリングでき、キー操作で接続先を切り替えられます。買う前は「4台も使わない」と思っていましたが、実際はデスクトップ、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンであっさり埋まりました。同じ打鍵感のまま端末だけ切り替えられるのは想像以上に快適です。ただし切り替えは瞬時ではなく数秒待つ場面があるので、頻繁に行き来する使い方には向きません。デスクではUSB、外ではBluetoothと使い分けられるのも便利です。

持ち運びは「できなくはない」というのが実感。W294×D120×H40mmは数字上コンパクトですが、厚み40mmは薄型キーボードに慣れているとかなり存在感がありますし、550gはノートパソコンと一緒に持つと効いてきます。結局、毎日ではなく「長時間作業する日だけ持ち出す」運用に落ち着きました。

¥36,850を払う価値はあったか

私にとっては「あった」です。理由は単純で、キーボードは仕事中いちばん長く触っている道具だから。2年使った時点で1日あたりに換算すれば、コーヒー1杯にも届きません。

ただし「高いから必ず満足できる」保証はありません。打鍵感の好みは人それぞれですし、配列に馴染めなければ高価な文鎮になりかねません。可能なら家電量販店などで実機に触れてから判断するのがいちばん確実です。

おすすめできる人、できない人

おすすめできる人

  • 1日に何時間もキーボードを打つ人(執筆やプログラミングなど)
  • タッチタイピングができる、または習得する気がある人
  • Controlキーを多用する作業スタイルの人
  • 複数の端末を行き来しながら作業する人

おすすめできない人

  • テンキーを頻繁に使う人(数値入力の多い表計算作業が中心の方)
  • キーを見ながら打つ癖がある人(少なくとも「墨」は避けたほうが無難)
  • 完全な無音を求めている人
  • 毎日の持ち運びを前提にしている人、慣れるまでの2週間を確保できない人

まとめ

このキーボードは、間違いなく人を選びます。配列は独特で、刻印は読めず、価格は¥36,850。万人向けではありません。

それでも2年間、買い替えを検討したことは一度もありませんでした。滑らかな打鍵感、劣化を感じさせない作り、机の上に置いたときの佇まい。長く付き合う道具として、価格に見合うものだったと感じています。少しでも「配列が不安だな」と感じるなら、まずは実機に触れる機会を探してみてください。この製品に関しては、それがいちばん確実な判断方法です。

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